認知症予防について
2016年8月21日(日)13:30~15:30
講師:小椋 真吾 氏
〈英国ブラッドフォード大学認定
パーソン・センタード・ケア DCM 基礎マッパー/厚生労働省 認知症介護指導者〉
午後の講座は、介護職を専門的に継続しながら、厚生労働省 認知症介護指導者やイギリスのブラッドフォード大学認定のパーソン・センタード・ケア DCM基礎マッパーなどの資格を取得。専門学校の非常勤講師や様々な研修会、講演会などで講師を務めている 小椋 真吾 氏に、特にご本人視点の接し方と認知症予防についての講義をお願いしました。
②ご本人理解のために感情理解を学ぶ。
自分と相手が「意思」「感情」「思考」を伝達しあい
共有すること
双方向で受信・送信しあうもの
(相手の気持ちに心を寄せて、共に感じ、相手の味方を理解する「共感的理解」が大切。)
在るものととらえることによって、
・深い共感 ・共鳴 ・環境の影響など>
・本性としての人間存在の謙虚さ
・適切なバランスと忍耐力>
説明がありました。
午前にも傾聴の話がありましたが、更に詳しく 「聴く」 には、十分に目や心を使って、感情を含めて注意を払い、理解しようとして丁寧にきくという意味があり、その際4つの妨げになる雑音があると説明されました。
①物理的雑音(耳障りの音、また音以外でも温度・臭い・不適切な環境なども含まれる。)
②心理的雑音(疾病や聴力、言語などの障がい)
③心理的雑音(心理的な防御機能)
④社会的雑音(偏見など)
またパーソナルスペース(個人的空間)については、例えば座り方一つとっても、距離感と位置どりは大切で、面と向かって向き合う「対面法」よりは、直角の位置に座る「直角法」の方が、安心感を与えやすく、話も引き出しやすいそうです。
その方のサインをとらえるためには、言葉ではないノンバーバルの音のメッセージを拾うことも重要で、声のスピードや大きさ、強弱、抑揚、あるいは間や沈黙なども何らかの情報を発信していることや、表情や目線、態度や姿勢など、音以外のサインも見逃さないように注意すべきだと理解しました。
その方の感情の理解からはじめ、その方との関係作りをするうえで、じぶんの体の足先から頭の先で五感をフル活用して、感情を聴こうということで、2人一組のペアになり、演習問題に取り組みました。
【演習手順】
①相手にわからないように、
どれか1つ感情を選んでください
②相手は顔を見ないでください
③選んだ感情で、「おはよう」と言ってください
④相手は、どの感情なのかを当ててください
⑤役割を交代
まず、ネガティブなのかポジティブなのかききわけることが肝心。そこから全身で感情をキャッチしようと参加者のみなさんも集中して取り組んでいました。
聴く姿勢を整えて、相手にそれを伝える。口調、口元、視線、表情、声の高低、語尾、体の向き、しぐさ、スピード、明確さ。
ポイントは、感情をしっかりと!!
その人を取り巻く人々や社会との関わりを持ち、1人の人として受け入れられ、尊重されていると本人が実感できるように、共に行っていくケア
定義として重要な4つの要素
V:人々の価値を認める I:個人の独自性を尊重する
P:その人の視点に立つ S:相互に支えあう社会環境の提供
その人の言うこと、行うことすべてに、何らかのコミュニケーション・何らかのサインがある。
その人にはいろいろな側面がある。
先入観で関わるのではなく、その人自身が思っていることを尊重することに意義があるということを学びましたが、実際介護の現場や、友人との関係においても、こういう考え方ができるようになると、劇的に変化するのではないだろうかと痛感しました。
弊社が行っている「脳トレ大学」の参加者の皆さんからも、認知症に対して、強い危機感があるとよく話を聴きますが、今回は
・認知症を医学的に正しく理解する(2次予防<早期受診・治療>のため)
・食べ物や運動による認知症予防を学ぶ(1次予防<発症の予防>のため)
この後も、様々な認知症予防に必要な栄養のとり方・・・例えば、記憶力維持には、卵・豆腐・味噌が良いことや、脳細胞の成分補給には青魚・牛乳・肉類・豆類が必要なことなどを話されました。
また、副作用が少なく、多様な方法がある「アロマセラピー」も中核症状(記憶障害・見当識障害・判断力障害・言語障害・失行・失認・実行機能障害)に効果が期待できるようです。
最近ネット上でも見聞きする「コグニサイズ」(コグニティブ(認知)+エクササイズ)についても、実践を交えながら説明してくれました。例えば、計算、野菜や動物の名前、しりとりなどをしたり、言ったりしながら、同時に足を規則正しく動かしました。
有酸素運動+脳トレで2つの事を同時におこない、脳の活性化を図りました。
認知症をよく知り、必要だと思ったときは受診すること。自分なりの工夫によって、食事を見直し、運動を心がけて少しでも危険因子を減らして緩和因子をふやすこと。楽しく人と交わって、いろんなものに興味を持ち、生活を活性化して予防に努めることが大事だと痛感しました。
認知症になって、最後まで残るのは感情だそうです。ご本人ができることを、ご本人に良い感情が残るようなことを留意しながら、ご本人視点というものの意味をより深く考えなければならない時代だと皆が理解できるようになるといいですね。
参加者の皆さんの中にはご家族のことで悩んでいる方も多かったのですが、とても具体的な内容で勉強になったと口々に話されていました。
小椋真吾先生、ご講義いただき、ありがとうございました。自身の脳トレにも励みたいと思います!