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―芸術療法は、私たち皆のもの― 最初にこれを申し上げたいと思います。
「芸術」と「療法」とが合体したこの呼び名は、何やら高尚で、近付きがたい雰囲気を醸し出しています。つまり、絵画やダンスといった素養がなければ、絵画療法(アーツセラピー)、ダンス療法は行うことも、参加することもできないのではという思い違いが、芸術療法から私たちを遠ざける一因になっています。
「芸術」と「療法」は、もともとは広く癒しの手段としてさりげなく私たちの前にたたずみ、求めに応じて手を差し伸べてくれる(手に入れることのできる)ものでした。しかし、世の中のハイテク化に伴い自然を愛でる機会が減りつつあるように、これらも私たちの日常生活から遠退き、「しつらえ」を要するものになってしまいました。
自分は一体何物なのか知りたい、人の思いや悩みを知りたい、人とうまく付き合っていきたい。そうした求めに、芸術療法は大いなる手立てを提供してくれます。
芸術療法は、老若男女、身体や心の病気(悩み)の有る無し、職業の如何に関わらず、全ての人を対象としています。目的は人それぞれです。そして、人というのは唯一無二の存在ですから、その方法は一人一人異なったものになります。さらには、人の気持ちというのは刻々と変化しますから、「今何を求めているか」という観点も必要です。
絵を描くのが好きであっても、四六時中描きたいと思っているとは限りませんし、音楽を聴くこと、詩を書くことなどでもしかりです。対象者(あるいは自分自身)に提供できる選択肢は、多ければ多いに越したことはありません。
私たちは、日常から遠退きつつある芸術療法をもう一度手元に引き戻し、高くなってしまった敷居を下げ皆さんに提供します。まずは先入観なしに、全ての手法に接してみてください。ご自身の適性を知ると同時に、人の適性を見極める力をも養うことができるでしょう。
「セミナーを受講して自分自身が変わったことに気が付きました」。多くの方が述べられる感想です。それだけでもいいと思います。芸術療法をどう応用するか、それはみなさん次第です。
自分を知り、人を知り、人との関わり方を見つめ直す。そのために芸術療法を活用してください。
まずは芸術療法を知ることです。知らなければ何も始まりません。芸術療法の扉は開かれています。まずは第一歩を踏み出してください。
主宰:馬場 俊一(ばば しゅんいち)
●精神保健指定医/SHUN心療クリニック院長
●日本芸術療法学会認定芸術療法士
●西日本芸術療法学会理事
●日本アーツセラピー協会理事
●アーツセラピー総合企画研究所主宰
ほか
群馬県高崎市出身、愛媛県在住。東京大学教育学部卒、徳島大学医学部卒。愛媛大学医学部附属病院、精神病院、一般病院勤務の後、聖カタリナ女子大学(現聖カタリナ大学)教授を経て現職。愛媛大学附属病院精神科神経科病棟にて7年間音楽療法を実践。聖カタリナ女子大学(現聖カタリナ大学)においては芸術療法アシスタント養成講座を開設。
2003年4月アーツセラピー総合企画研究所を設立、芸術療法の啓発普及に当たる。
2002年より7年間、医療法人光佑会くろだ病院副院長を経て、2009年1月9日に松山市朝生田町にてSHUN心療クリニックを開院。
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